リスのボタン、蝶のボタン

 

実際の蝶のボタンは、つるつるした素材で、机に置くときおはじきのような音がする。色は琥珀色とやや薄めの墨色がある(絵とはずいぶん違います)。

カーディガンのボタンをこれにつけかえたらいいんじゃないか、と思って、ほんのり目的を持って購入したけれど、あの、つけかえる気配はどこへいったのか。

リスのボタンは、おそらく真鍮製。リスの顔としっぽがくっきりと浮かびあがって気持ちがいい。

人間は、生きものを絵に描いたり飼ったり、荷物を運ばせたり食べたり、背中に乗せてもらったりしてきて、そして2センチほどのボタンにもその姿を彫りこんだり、そのぼたんをセーターにつけたり(じぶんはリスではないけれど)、つけずにときどき眺めたりしている。

リスはきっとそのことを知らないのではないか。