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これは全身ビーズでできた人形で、南アフリカからやってきたものだそうです。

福岡の THE CONRAN SHOP でかれに出会ったとき、かれがいったい何者なのかはさっぱりわからないものの、もうかれのこと以外考えられない状態になりました。

ごく自然に棚の一角に飾られていたため、売り物なのかどうかもわからなかったのですが、店内をうろちょろしていると、テーブルや別の棚にもかれの仲間たちがおり、プライスカードも発見しました。

なかには、ゾウやキリンらしいものもいれば、わたしがとりわけ気に入ったかれのように、なにものか、なかなかわからないものもいます。

それに、手のひらに乗るくらいのものもいれば、両手で抱えるくらいのものもいます。

みな、からだはビーズでてきており、足は細く伸び、ビーズで描きだされた模様はすべて違います。

わたしは、初めに気に入ったかれを持って、ローテーブルの上に置いたり、別の棚に置いてみたりして、またもやうろちょろしていました。

あきらかに、猛烈に気に入っていたのですが、わたしのなかにいるしっかり者(自分比)がしきりに、

「それはたしかにすてきだけど、それを買って、あなたどうするわけ?背中には乗れないわよ」

とかなんとかいって諫めてくるために、わたしとしては対抗意見をしっかり持つ必要があったのでした。

とはいえ、すてきな店内のいろんなところに置いてみたところで、明るく照らされたり暗く照らされたりしたそれを見て、「それを買ってどうする」という問いへの回答はいっこうに見当たりません。これをどうしたいから、欲しいわけではなく、とにかく猛烈に連れて帰りたいのだ(飛行機に乗って)、ということなのです。

それにしても正体が不明です。このままでは、謎の四本足さんという名前になる。それはそれでいいですが(わたしは)。

すると店員さんがやってきて、いろいろ教えてくれました。

かれは山羊らしいということ、

作っているのは南アフリカの方たちで、経済的自立を支援するMONKEY BIZというプロジェクトで作られているものであるということ、

また、作っている人たちは山羊やキリンを見たことがなく、想像で作っているので、色かたちがユニークであるということ。

後ろ足についているタグには、こう書いてあります。


I am a unique artwork made by disadvantaged people in the townships of Cape Town.

Thank you for choosing me and creating an income for the artist who made me.
“township” というのは、南アフリカでは旧アパルトヘイト政策によって設けられていた黒人専用居住区のことを指すようです。

そして、この作品を購入することが、作り手の収入につながるとのこと。

タグの裏側には、ボールペンで名前が書いてあります。この山羊を生みだした人の名前なのでしょう。

(残念ながら、つづりが不明瞭でわたしにははっきりとは読めません)

このたぶん “Z” ではじまり “e” でおわる名前の人が、糸にビーズを通して、白と黒と赤と、調子の違う2種類のピンクをスクエア状に構成して、どのくらいの時間がかかったのかはわからないけれど、生みだした山羊のかれ。どうしてもうしろの足が1本浮いてしまうかれ。

なんてすばらしい色とかたちと、たたずまいなのでしょう。

それしか言うことはないのでした。

わたしはその日ホテルに着いて、かれを袋から出して、ホテルの棚に飾って、眠りました。

 

MONKEY BIZ : http://www.monkeybiz.co.za/


Written by mariko