2014年に東京都美術館でひらかれた『バルテュス展』のお土産、泥絵の具です。
瓶の底からコルクのふたのてっぺんまで入れると約5センチメートル。プラスティック製の瓶です。未開封。
ほかにも朱色やウルトラマリンや黄土色が並んでいましたが、わたしはこういう場合ほぼ無意識的にむかしから、「うーん」と考えてひとつだけ選ぶのです。といっても近所のスーパーマーケットでトマトケチャップを買うのとは違って、その場でなければなかなか出会えないものも多く、旅先で買ってきた、たった一枚の活版印刷のカードを見て、どうして10枚くらい買わなかったのかと、悔やむのよりも不思議で仕方ありません。というわけで、もれなくそのカードは実用性を脱ぎすて、大切なもの箱(使わないもの箱)行きが決まるのです。
この瓶に入っている泥絵具は、バルテュスがじっさいに足を運んで絵の具を購入していたイタリアの画材店のものということです。
ラベルにお店の住所らしきものが書いてあります。ローマ。
いまわたしの心にわいている考えは、どうしてローマに行くときに、この瓶に書いてある住所のことを一切思い出さなかったのかということ。
グーグルマップで住所を調べて万が一、お店のとても近くを通り過ぎていた事実などが判明したらたいへんですので、
ローマのどこかに実際にある画材店、というおおまかな認識にとどめておくことにします。今日のところは。
それにしても、ラベルの貼ってある瓶というのは、安定感があります。ラベルも奥が深い。この世は奥が深いことだらけ。