ひたすらに捺す日

 

風邪をひいて、何をしてもうしろむきで坂をのぼっているような日曜日、ひたすらはんこを捺していた。

引き出しのなかから食べかけの(四角い)ピザのような消しごむはんこのおおもとを引っぱり出して、

カッターで、四角や三角を削り出して、つくったかたちを組み合わせて紙におす。くりかえし。

ほんの少しでも複雑なかたちを彫るのはわたしにはとてもむつかしいことがわかったので、

潔く、ほとんど丸と三角と四角、あるいは角を削るとか。

 

 

たくさんの封筒、封が開いているの、開いていないもの、切手が数枚貼ってあるもの、縦書き、横書き。

ただ捺しに捺していて、ふと我にかえる度に紙の上に封筒が増えているのでとても不思議。

そしていよいよ日が沈み、布団のなかで封筒の夢は見ずに、翌朝もひきつづき風邪である。