しあわせ(日記)

六花亭のお菓子の缶の包み紙には、セロハンテープもシールもなにも貼られていなくてとても簡単にとけた。

なにかに使おうと思ってそのまま、描いた絵とか本とかがある一角に漂わせておいた。一ヶ月くらい。なんにも使わないんじゃないかと、その間、5回は思った。ある日あるものを包もうとしたら大きさが足りなかった。今朝、ある本をカバンに入れようとして、ブックカバーをつけたいと思ったが、書店でつけてもらう紙のカバーはどれも読みかけの本を守っており、外せない。六花亭。床に包装紙を広げ、本をあてがい、折り目をつけ、カッターで切る。本を挟み込んでみる。微調整。ひとまずの、できあがり。お菓子の缶を包んでいたときの皺もそのままに。満足感。わたしはしあわせだった。
 
そして結局、リュックが重くなりすぎるという理由で、その本は「今日の三冊」に選ばれることなく、リビングに横たわり日を浴びているのを忍びなく見つめながらわたしは家を出た。六花亭。