きらきらぷるぷる(日記)

ここしばらくの間、わたしたちはいかに世界が “きたない” ものであるかの知識を日々蓄積し続けた。電車のつり革アンド手すりはこれまでよりさらに汚染されたパーツとしての立ち位置を獲得、ドアノブもエレベーターのボタンも言うまでもなく、自分の手ときたらもちろん言うまでもなく、他者の息はもってのほかだが自身の息にも過度の自信を持たずに細心の注意を払い、うがいで菌を追い出さねば。いつ誰が触ったかわからないものを触るなんてもってのほか。自分の手で自分の口とか鼻とか目とかも触らないようにね。それからついさっきまでつけていたところのマスクの、外側を触るのはよろしくないのはもちろんわかっているよね。菌といっても乳酸菌は摂取してください。ハチミツ舐めるのも良いらしい。マスクが高値で転売されるいっぽう、経済は冷え込むばかりなり、とのこと。

 
梅が咲いた。めがねをかけずに窓の外を見て、雪が降っているのかと思ったら、雨の中、梅が咲いていた。ぽこぽこぽこ。もこもこもこ。
注射をする母親を待つ子ども。待合の椅子に座って、父親が「ママが痛くないように、お祈りしようね」と言う。注射を終えて部屋から出てきた母親が息子に「〇〇くんがお祈りしてくれたお蔭で痛くなかったよ」と言うと(聞こえていたのか偶然の一致なのかはわからない)、「ぼくがお祈りしてたから、ママ、痛くなかったの?」と目を輝かせる子ども。そのあと何度も「ぼくがお祈りしてたから、ママ痛くなかったんだよね!」と母親を見上げ、背の高い彼女の膝の少し上くらいの位置からお祈りの功績を伝える。ついでにわたしにもお祈りしてほしいところだが、残念ながら、一度目の注射針は血管に入らず、刺し直しとなる。刺された “何にもないところ” から血がにじむ。何にもなくはなく、そこを血管が通っていないだけ。
銀行で、ATMの列の順番抜かしをされたと言って怒る男性。「並んでんだぞ、こっちは!」と叫ぶ。赤いセーターを着た白髪の女性が申し訳なさそうにどく。単純に気づかなかっただけかもしれないなあ、”列” っていっても先頭に彼一人しか立っていなかったようだから。
里芋の煮物がやけにおいしい。食事ごとにおかわりを繰り返して二日で食べ終わる。
炭酸水24本入りが届く。重さがえらいこっちゃなのと腰痛のため、ドアから数歩の玄関の床に置いてもらえますかと頼むと、「もちろんです!」と言う宅配の人。この間同じように頼んだときは「えぇ・・・」と嫌そうであった別の人。あきらめない気持ち。
毎日同じ布団と毛布でも、先日起きた時のその内部のコンディションときたら最高であった。あの空間から出るさいの名残惜しさは言わずもがな、あの空間を永久保存できないことの口惜しさときたら・・・ここに記す。もがなって何。
小さな葉っぱが雨上がりの水滴を溜めている。雨上がりにこんな風に水滴が、わたしの指のあたりでまるまって留まっていてくれたらいいのにな。